FP豆知識Vol.031『犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)』
■犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)とは?
テロリズムの資金隠しに利用されたり、マネー・ローンダリング(注)に金融機関等(以下、特定事業者という)が利用されたりすることを防ぐために、本人確認・取引記録保存や疑わしい取引の届出等の義務について定めている法律です。
銀行の窓口やキャッシュディスペンサーで手続きが煩雑になったのはこの法律の影響なのです!
本人確認が必要となる場合 | ・契約の締結、契約者貸付、契約者変更、満期保険金・年金・解約返戻金支払等の取引発生時 ・200万円を超える大口現金取引等 ・10万円を超える現金送金等 |
確認する内容 | 【個人の場合】 氏名・住居および生年月日 【法人の場合】 名称・本店等の所在地 |
本人確認の方法 | 【個人の場合】 運転免許証、各種健康保険証・年金手帳等、パスポート(旅券)、取引に実印を使う場合の印鑑登録証明書などの公的証明書を提示していただき、確認を行います。 代理人を利用して取引する場合は、お客様と実際に取引をする担当者双方の本人確認が必要です。 【法人の場合】 お客様である法人と、実際に取引される担当者双方の本人確認が必要です。 法人の本人確認は、登記簿謄本・抄本や印鑑登録証明書等を提示していただくか、送付により行います。 担当者の本人確認は個人の場合と同様です。 |
既に本人確認済みの場合 | お客様が一旦特定事業者による本人確認を受け、次回以降の取引で、保険証券やカード、パスワード等により本人確認済みであることを確認できれば、再度の本人確認は不要です。 |
嘘偽の申告 | お客様が本人確認に際し、隠ぺいを目的として嘘偽の申告を行った場合、50万円以下の罰金が科せられます。 |
保険会社の免責規定 | 犯罪収益防止法では、生命保険会社等(金融機関)は、お客様が本人確認に応じない場合には応じるまでの間、取引に係る義務の履行を拒むことが出来ることとし、免責規定を設けています。 よって、お客様が本人確認に応じない間、お客様は生命保険会社等の金融機関に契約上の義務の履行を要求できません。 |
■特定事業者とは?
金融機関(銀行、損害保険会社、生命保険会社、証券会社等)、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁護士
(注)マネー・ローンダリングとは、犯罪等で得た「汚れた資金」を正当な取引で得た「きれいな資金」に見せ掛けることです。