不動産豆知識Vol.024『不動産の鑑定評価方法~収益還元法~』

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不動産鑑定評価とは、土地や建物等の不動産の合理的な価格を、不動産鑑定評価基準に基づき不動産鑑定士が評価することです。

その不動産鑑定評価の手法は、原価法(積算価格)収益還元法取引事例比較法の3つがあります。

ここでは、収益還元法をご紹介いたします。

【収益還元法】

収益還元法は、対象不動産が生み出す利益から適正投資価格(収益価格)を算出する方法です。

収益価格の算出方法には、直接還元法(直接法)とDCF法のふたつがありますが、

基本的な計算式は、

収益価格=純収益÷還元利回り

となります。

 

■直接還元法

直接還元法は、一定期間(通常一年)の純収益を還元利回りで還元して価格を求めるものです。

収益価格=純収益(収入-経費)÷還元利回り(住宅5~7%、事業用8~10%)

つまり、年間家賃が1,200万円、年間諸経費200万円、還元利回り5%の場合は、

200,000,000=(12,000,000-2,000,000)÷0.05

と算出されます。

 

■DCF法

DCFとは、「Discounted Cash Flow」の略で、直訳すると『割引現金収支法』となります。

基本的な考え方は直接法と同じですが、より精度を高めて算出するため複雑となっています。

具体的には、保有期間中に得られる純収益と、売却等により得られる売却価格を加味した上で、

収益価格が算出されます。

不特定多数の方から資金を調達する不動産の証券化では、投資家の検証材料としてDCF法が必要とされています。


以下、不動産鑑定評価基準(平成14年7月3日全部改正 平成19年4月2日一部改正 国土交通省)の収益還元法について

収益還元法
1.意義
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価
値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法
による試算価格を収益価格という 。。)
収益還元法は、賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求
める場合に特に有効である。
また、不動産の価格は、一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるもので
あり、収益は、不動産の経済価値の本質を形成するものである。したがって、この
手法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外の
ものにはすべて適用すべきものであり、自用の住宅地といえども賃貸を想定するこ
とにより適用されるものである。
なお、市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格
との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手
段として、この手法が活用されるべきである。
2.収益価格を求める方法
収益価格を求める方法には、一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法
(以下「直接還元法」という )と、連続する複数の期間に発生する純収益及び復 。
帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法
(Discounted Cash Flow法(以下「DCF法」という )がある。 。)
これらの方法は、基本的には次の式により表される。
(1)直接還元法

syuekikangen001

P=a÷R
P:求める不動産の収益価格
a:一期間の純収益
R:還元利回り
(2)DCF法

syuekikangen002

P :求める不動産の収益価格
a :毎期の純収益 k
Y :割引率
n :保有期間(売却を想定しない場合には分析期間。以下同じ )。
P :復帰価格 R
復帰価格とは、保有期間の満了時点における対象不動産の価格をいい、
基本的には次の式により表される。

syuekikangen003

a :n+1期の純収益 n+1
R :保有期間の満了時点における還元利回り(最終還元利回り) n
3.適用方法
(1)純収益
① 純収益の意義
純収益とは、不動産に帰属する適正な収益をいい、収益目的のために用いら
れている不動産とこれに関与する資本 不動産に化体されているものを除く ( 。)、
労働及び経営(組織)の諸要素の結合によって生ずる総収益から、資本(不動
産に化体されているものを除く 、労働及び経営(組織)の総収益に対する貢 。)
献度に応じた分配分を控除した残余の部分をいう。
② 純収益の算定
対象不動産の純収益は、一般に1年を単位として総収益から総費用を控除し
て求めるものとする。また、純収益は、永続的なものと非永続的なもの、償却
前のものと償却後のもの等、総収益及び総費用の把握の仕方により異なるもの
であり、それぞれ収益価格を求める方法及び還元利回り又は割引率を求める方
法とも密接な関連があることに留意する必要がある。
なお、直接還元法における純収益は、対象不動産の初年度の純収益を採用す
る場合と標準化された純収益を採用する場合があることに留意しなければなら
ない。
純収益の算定に当たっては、対象不動産からの総収益及びこれに係る総費用
を直接的に把握し、それぞれの項目の細部について過去の推移及び将来の動向
を慎重に分析して、対象不動産の純収益を適切に求めるべきである。この場合
において収益増加の見通しについては、特に予測の限界を見極めなければなら
ない。
特にDCF法の適用に当たっては、毎期の純収益及び復帰価格並びにその発
生時期が明示されることから、純収益の見通しについて十分な調査を行うこと
が必要である。
なお、直接還元法の適用に当たって、対象不動産の純収益を近隣地域又は同
一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産若しくは同一需給
圏内の代替競争不動産の純収益によって間接的に求める場合には、それぞれの
地域要因の比較及び個別的要因の比較を行い、当該純収益について適切に補正
することが必要である。
ア 総収益の算定及び留意点
(ア)対象不動産が賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産であ
る場合
総収益は、一般に、賃貸用不動産にあっては、支払賃料に預り金的性格
を有する保証金等の運用益、賃料の前払的性格を有する権利金等の運用益
及び償却額並びに駐車場使用料等のその他収入を加えた額とし、賃貸以外
の事業の用に供する不動産にあっては、売上高とする。
なお、賃貸用不動産についてのDCF法の適用に当たっては、特に賃貸
借契約の内容並びに賃料及び貸室の稼動率の毎期の変動に留意しなければ
ならない。
(イ)対象不動産が更地であるものとして、当該土地に最有効使用の賃貸用建
物等の建築を想定する場合
対象不動産に最有効使用の賃貸用建物等の建設を想定し、当該複合不動
産が生み出すであろう総収益を適切に求めるものとする。
イ 総費用の算定及び留意点
対象不動産の総費用は、賃貸用不動産(アの(イ)の複合不動産を想定す
る場合を含む )にあっては、減価償却費(償却前の純収益を求める場合に 。
は 計上しない 維持管理費 維持費 管理費 修繕費等 公租公課 固 、 。)、 (、、 )、 (
定資産税、都市計画税等 、損害保険料等の諸経費等を、賃貸以外の事業の )
用に供する不動産にあっては、売上原価、販売費及び一般管理費等をそれぞ
れ加算して求めるものとする。なお、DCF法の適用に当たっては、特に保
有期間中における大規模修繕費等の費用の発生時期に留意しなければならな
い。
(2)還元利回り及び割引率
① 還元利回り及び割引率の意義
還元利回り及び割引率は、共に不動産の収益性を表し、収益価格を求めるた
めに用いるものであるが、基本的には次のような違いがある。
還元利回りは、直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定におい
て、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率であ
り、将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むも
のである。
割引率は、DCF法において、ある将来時点の収益を現在時点の価値に割り
戻す際に使用される率であり、還元利回りに含まれる変動予測と予測に伴う不
確実性のうち、収益見通しにおいて考慮された連続する複数の期間に発生する
純収益や復帰価格の変動予測に係るものを除くものである。
② 還元利回り及び割引率の算定
ア 還元利回り及び割引率を求める際の留意点
還元利回り及び割引率は、共に比較可能な他の資産の収益性や金融市場に
おける運用利回りと密接な関連があるので、その動向に留意しなければなら
ない。
さらに、還元利回り及び割引率は、地方別、用途的地域別、品等別等によ
って異なる傾向を持つため、対象不動産に係る地域要因及び個別的要因の分
析を踏まえつつ適切に求めることが必要である。
イ 還元利回りを求める方法
還元利回りを求める方法を例示すると次のとおりである。
(ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法
この方法は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる利回
りをもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違い
に応じた補正を行うことにより求めるものである。
(イ)借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法
この方法は、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及
び自己資金)に係る各還元利回りを各々の構成割合により加重平均して求
めるものである。
(ウ)土地と建物に係る還元利回りから求める方法
この方法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的
な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合
により加重平均して求めるものである。
(エ)割引率との関係から求める方法
この方法は、割引率をもとに対象不動産の純収益の変動率を考慮して求
めるものである。
ウ 割引率を求める方法
割引率を求める方法を例示すると次のとおりである。
(ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法
この方法は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる割引
率をもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違い
に応じた補正を行うことにより求めるものである。
(イ)借入金と自己資金に係る割引率から求める方法
この方法は、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及
び自己資金)に係る各割引率を各々の構成割合により加重平均して求める
ものである。
(ウ)金融資産の利回りに不動産の個別性を加味して求める方法
この方法は、債券等の金融資産の利回りをもとに、対象不動産の投資対
象としての危険性、非流動性、管理の困難性、資産としての安全性等の個
別性を加味することにより求めるものである。
(3)直接還元法及びDCF法の適用のあり方
直接還元法又はDCF法のいずれの方法を適用するかについては、収集可能な
資料の範囲、対象不動産の類型及び依頼目的に即して適切に選択することが必要
である。

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