FP豆知識Vol.035『新会社更生法|2003年改正版』

■会社更生法とは?
1952年に制定された会社更生法が前面改正され、2003年4月1日に施行されました。
経営難に陥った株式会社が、再建の見込みのある場合に、債権者・株主その他の利害関係者の調整をしながら、事業の維持・更生を図る目的を定めた法律で倒産法の一つです。
サブプライム問題やリーマンショック以降に、日本でも破綻が相次いでいる中、『民事再生法・会社更生法の適用を申請』や『自己破産を申請』の報道が飛び交っていますが、良くも悪くも改正してて良かったという訳です。

2003年の改正での目的は、再建手法を強化すると同時に迅速化及び合理化を図り大企業の利用を促進するものとなっております。

具体的に手続きの迅速化については
1.手続開始の要件を緩和
2.手続開始後1年以内に更生計画案の提出を義務付け
3.更生計画案の可決要件を緩和
4.手続の終結時期を早期化

手続きの合理化については
1.全国どこからでも東京地裁又は大阪地裁に申立て可能
2.手続の透明性確保のため事件関係書類の閲覧・謄写規定を整備
3.更生計画による弁済期間の上限を原則15年に短縮
4.更生計画案の決議方法として書面投票、書面決議の制度を導入

また、株券(電子化されたので今はありません)については上場企業の場合は上場廃止となりますので、取引所での売買は出来なくなります。
さらに株券の資産価値については、基本的に会社の資産価値が負債を下回るので限りなく0(つまり昔でいう紙切れ)となりますので与信管理は当然に必要となります。

会社更生手続
旧会社更生法 新会社更生法
適用対象 株式会社のみ
事業経営 裁判所が選任した管財人(経営者は退陣) 裁判所が選任した管財人(経営責任のない経営者は管財人として選任可)
権利変更
(減免等)
の対象
(1)手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権【更生債権】
(2)担保権付の請求権【更生担保権】
(3)株主の権利
担保権
の取扱い
更生担保権(減免の対象になり、担保権実行も全面的に制約される)
計画の
成立要件
(1)更生債権者、更生担保権者、株主の決議による更生計画案の可決
 +
(2)裁判所の認可
可決要件 (1)更生債権者の組では債権総額の3分の2以上の同意
 +
(2)更生担保権者の組では債権総額の5分の4以上の同意
(1)更生債権者の組では債権総額の2分の1以上の同意
 +
(2)更生担保権者の組では債権総額の4分の3以上の同意
計画の履行
の確保
管財人が更生計画を遂行
特徴 (1)すべての利害関係人を手続に取り込み、会社の役員、資本構成、組織変更まで含んだ抜本的な再建計画の策定が可能な手続
(2)担保権者の権利行使を全面的に制限
(3)手続が複雑かつ厳格であるため、手続及び費用の負担大

明日は、民事再生法について記載します。

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